京進ランゲージアカデミー日本語教師養成講座の中村です。
今回は本講義の科目の一つ「日本の文化・日本事情」についてご紹介します。
「日本語の先生」はコトバの専門家というだけでなく「日本人の代表」として見られることがあります。
日本の生活で学習者が困ったことがあれば身近な日本語教師が相談を受けることも多いですし、海外においては「日本語の先生」=「日本」の図式から、より日本的なものを披露することも期待されます。
そのため日本語教師にはある程度の日本の文化・日本事情への理解が求められます。
本講座では受講者が実際に「日本の文化・日本事情」を教える模擬授業を設けています。
どのようなことをするのか、見てみましょう。
①模擬授業準備
受講者の方々には自由にテーマを決めて「日本の文化・日本事情」の模擬授業を行ってもらいます。
初回はそのための準備です。
「日本の文化・日本事情」の授業を作る上で大事なのは「活動的」であること。
マニアックな日本情報をいくら与えても、多くの学習者にとっては右から左。実際に体を動かしたり、表現したりして学習者が自ら発見・気づきを得られるものが「良い授業」です。
では、みなさん授業作りの際にどのようなことに頭を悩ますのでしょうか。
準備中のやり取りをちょっと覗いてみましょう。
Sさん「テーマを『日本の四季』にしたいと思うんですが、どうでしょう」
講師「いいテーマだと思います。じゃあ日本の四季をテーマにどんな「活動」をしましょうか。
Sさん「うーん、それぞれの季節に関係するものを教えるだけじゃだめですよね。『夏はすいか』とか」
講師「それは授業の最初にみんなで話し合うといいですね。それを踏まえ、活動では学習者の個性が表
現できるものにしたらどうでしょう。…ところでSさんの好きな季節と、思い浮かべる光景は?」
Sさん「やっぱり夏ですね。夏と言えば浜辺でビール・・・」
講師「来日1年以上の学習者なら、そういうものをみんな持っているかもしれません」
Sさん「あ!じゃあ、それを絵にして説明してもらおうかな。『私が見る日本の四季』みたいに」
試行錯誤を繰り返し、一つの授業は作られます。
②模擬授業発表
本番の日、教室の中には折り紙、昔のおもちゃ、習字セットなど、様々なツールが並べられています。実際にどのような模擬授業が行われたか、見てみましょう。
ご自身の技能を授業にした受講者Sさん。
習字の授業では、墨・筆を用いて実際に書くだけでなく、なぜその漢字を書いたか説明してもらうことで、自己表現をさせる工夫をしていました。
折り紙をテーマにしたYさん。
見本通りに折るだけでなく、紙飛行機やピョンピョンガエルなどを用いてを競争させることで、教室は大いに盛り上がりました。
一芸のある先生はもちろん重宝されますが、特別な技術がなくてもアイディアや創造力を駆使すればよい授業は作れるものです。
そして何より、教えている人自身が楽しむこと。
「授業やって楽しかった!」という受講者のみなさんの声こそが、本講義の成功の証です。
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