2024年度から始まった「日本語教員試験」は、国家資格「登録日本語教員」を取得するための新しいステップ。日本語教育に携わる人にとって、大きな節目となる試験です。
このコラムでは、初回試験の結果や受験者の声をもとに、「応用試験の難易度」に焦点を当ててご紹介します。
✔日本語教員試験の対策で迷っている方 ✔応用試験対策コースの受講を検討している方 ✔日本語教師の国家資格「登録日本語教員」を取得したい方 ✔現行の制度で日本語教師として働いている方 ✔日本語教師養成講座(文化庁届出受理)を受講中、または修了した方 |
令和6年度の結果(文科省ウェブサイトリンク)では、応用試験のみを受験した方の合格率は61%でした。「難しかった」という感想がある一方で、実際には半数以上が合格しています。 これは、合格基準が総合得点の6割程度に設定されているためだと考えられます。
「あまり手応えはなかったけど、合格していた!」というケースも、少なくなかったということですね。
では、聴解の難易度について、受験者の声も合わせて見ていきましょう。
応用試験Ⅰ(聴解)は、50分間で全50問。出題は以下のような構成です。
受講者の声から、以下のような聴解試験の特徴が見えてきます。
・音声が一度しか流れないのがつらい。
・短時間での判断が求められる。聞き逃したら取り戻せず、焦ると次の設問にも影響が出る。
・1問ごとに文法、語用、イントネーション…と、出題分野が切り替わるのが大変。
・試験の間、常に頭を働かせて集中しないといけない。
これらを事由に、「厳しかった」という声が多く聞かれました。試験問題の内容以上に、設問形式の困難点に声が集中しているのが特徴ですね。また一部の会場では音響環境の不備が報告され、再試験も行われました。このあたりは受験者側ではコントロールできないので、今後の改善を運営側に期待するところです。
次に、読解の難易度について、受験者の声も合わせて見ていきましょう。
すべての問題が教育現場のやり取りや授業設計など、教育実践に関わるものです。
受講者の声から、以下のような読解試験の特徴が見えてきます。
・実際の教育現場を想定した問題が多かったので、現役教師にとっては答えやすい問題も多い。
・知識が浅かったり、専門用語を知らないと、選択肢を絞るのに時間がかかる問題も。
・日本語教育の「参照枠」や「行動中心主義」といった最近の教育的視点を踏まえた出題も多く見られた。
現役教師にとっては親しみやすく感じる反面、新しい理論や用語をおさえておく必要もあり、そのあたりの理解の度合いが難易度を左右しそうです。
実際のところ、今からどれくらいがんばればいいのでしょうか?とりあえずここでは「養成課程修了段階ではあるが、試験対策はこれから」という状況を想定して、どれくらい準備が必要かを見ていきます。
まずは、こちらの表をご覧ください。
これは、第1回日本語教員試験に先立って実施された試行試験において、養成講座修了者8名に応用試験の得点を聞いてまとめた表です。
あくまで
・8名の回答に基づく
・試験勉強は未実施と仮定
・配点の傾斜(試験1=50点、試験2=60点)は考慮せず
という条件つきではありますが、この結果から、養成課程修了レベルであれば、試験勉強なしでも50%は得点できる人が多いということが読み取れます。言い換えると、多くの方が、あと+10%(+11問程度)を積み上げれば、合格ラインに届くということですね。
学習に近道はありません!・・・が、お忙しい中、限られた時間で効率よく取り組みたいという方も多いでしょう。本対策コースにおいては、修了時点での到達目標ラインの目安を設定しています。
すべての範囲を網羅して満点を目指すのではなく、短い時間で点数を取りやすいポイントに取り組む、というのがコースの特徴です。
具体的な対策のポイントとしては・・・
「苦手を全部なくしたい」「学び直しとして丁寧に勉強したい」そうした気持ちも理解しつつ、まずは合格という明確な目標に向けて、今どこに力を注ぐべきか、を反映させたコースです。
ここまで、日本語教員試験・応用試験の難易度について見てきました。初めての受験に不安がある方も、教育現場から少し離れていた方も、「あと+10%」という現実的な目標を意識することで、前に進むきっかけがつかめるかもしれません。
もう少し自信をつけたい、合格に向けて後押しがほしい――
そんな方に本コースが力になれば幸いです。
カテゴリー: 日本語教員試験 日本語教師の国家資格 | 2025.07.05