公式ブログ「夢を実現するステップ」

講師・職員の横顔⑪ 新宿校 直人先生

Q.さっそくですが、直人先生の講座でのご担当は?

理論科目と実践科目を担当しています。

 

Q.プライベートのことで恐縮ですがオフは何をしていますか?趣味、特技、好きなこととかあれば教えてください。
ポタリングですかね。

行く先を決めずに自転車で出かけるのです。

オンのときは、授業の準備や授業時間の管理など分刻みのスケジュールで動いています。

だからこそ、オフのときぐらいは、わざと時計を外してみたりスマホを持たず出かけたりして、

自由気ままに路地裏散策などをして小さな発見の旅をするのが何よりの休養になります。

旅といえば、旅行をするのも好きです。

日常を離れると、気分転換になるだけでなく、

普段見過ごしがちな光景をちゃんと見たり、人々の息遣いを感じられるようになります。

そして、日常に帰ったあとも旅で得たわくわく感や感動がよみがえるのが旅の魅力です。

 

Q. トップ写真に選んだ「わたしの1枚」についてお聞かせください。

これは、大学の卒業旅行でヨーロッパに行ったときに市場で撮った写真です。

初の海外でしたが、何もかも新鮮で、

これまで苦手だったこと(アイススケートなど)にも挑戦したり、

勇気を出して言葉の通じない町はずれの店に入ったりと行動的な旅をしました。

その中で、それまでずっと抵抗のあったエスカルゴを初めて食べてみた記念に撮ったのがこの1枚です。

それ以来、エスカルゴは好物の一つになっています。

この写真を見ると、感受性の豊かだったころの感覚がよみがえります。

日本語教師を目指し始めたのもちょうどこのころでした。

 

Q.そんな直人先生の「これまで」について自伝的に熱く語ってください!

 

英語教育から日本語教育へ

もともと英語が好きで英語教師になるつもりでした。

ところが、ネイティブの強みが生かせる点と日本にいながらにして世界各国からやってくる留学生と

日常的に接することができる点にひかれ日本語教師に転向しました。

 

日本語教育は未知の宝庫

ご存じの方も多いかとは思いますが、日本語教育の方法論は英語教育のそれから来ています。

ところが、異なる言語同士が常に対応し合っているということはありません。

これは翻訳を試みたことがある方なら想像にかたくないことだと思います。

日本語独特の言い回しや表記というものがあります。

それらは英語教育からヒントを得ようとしても限界があります。

日本語教育ならではの分野を開拓しなければ見えてこない世界というものが広がっています。

そういう意味では、日本語教育の研究は未開拓の分野が多いと言えます。

 

日常の中の「異文化接触」

最も印象に残っている授業は何かと聞かれたら、迷わず多国籍のクラスの会話授業と答えます。

文化の違いがあるだけで、本当に知りたいことを尋ねあったり、心が動いたりする、

生き生きとしたやりとりに溢れる授業ができました。

具体的には、国際交流パーティーを開くことを想定して

あらかじめ相手に聞きたいことや自らが話したいことを計画します。

本番では、国旗のついた名札をつけて、初対面の体で交流をするというものでした。

練習のための練習に終始しない、その時間は日本語教育が国際理解教育につながるもので

支援者としての教師の役割を再認識できました。

 

学習者の頭が教師の中にできる

駆け出しのころは、これを教えよう、あれも教えなきゃといったように、

自分がしなければならないことに意識が傾いていました。

しかしそれでは学習者が満足する授業にはなりません。

学習者がどのように教えたことを理解し、習得していくのか。

学習者が本当に知りたいこととは何なのか。

そのような観点を磨いていくことで次第に教えやすくなり、

一定の満足をしていただけるようになっていったと思います。

教師を成長させるものは、何よりも学習者の質問だと考えています。

質問に的確に答えられるのはもちろんのこと、

そのような質問をした意図は何なのかということまで考えが及んで

初めて学習者の支援者になれるのではないかと思います。

言ってみれば、学習者の頭(考え方の枠組み)が教師の脳内に作られていくイメージです。

 

日本を世界に伝える

どんな理由であれ、学習者は日本で日本語を勉強することを選びました。

日本に定着する方もいらっしゃるでしょうが、

いつかは国へ帰る方のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか

そんなとき、日本で経験した良いことも良くないことも国へ帰ったときに家族や友人に伝えてくれることと思います。

自分の目で見た日本、自分の肌で感じた日本はこうだったと伝える人が増えることは、一見遠回りのようではありますが、

長期的に見れば日本や日本人に対する理解を広げてくれるのではないかと期待できます。

 

Q.日本語教育で興味のある分野とか専門とかってありますか?その魅力や面白さも教えてください。

非漢字圏(漢字を使用しない国々)の学習者に漢字をどのように導入すれば、

漢字に対する苦手意識を持たないようになるかということに高い関心があります。

漢字を初めて見る人にとって漢字は記号というよりも絵に見えるようです。

漢字を楽しく学ぶための様々な教材が開発されています。

漢字嫌いを減らす方法論が見つかれば、それは日本語ネイティブ(母語話者)の漢字教育にも寄与すると信じています。

養成講座を受講された皆さんとこれまでにない教材開発ができたらいいなと思っています。

 

Q.養成講座で印象に残っているエピソードとか、講座担当者として大事にしていることとか、教えてください。

まず本講座を担当させていただくに当たって心がけたことは、

理論と現場の乖離を意識して、適宜現場ではどうなっているのかという視点を盛り込んでお話を進めるということです。

私自身も理論を勉強しているときに、頭では理解した(つもり)と思っていても、

それをいざ実践しようとしたときにどうしていいか分からないという壁にぶち当たることが幾度となくありました。

そんなとき、理論と実践の違いに関するちょっとした情報があれば、

ある程度の柔軟性をもって理論を学べると考えたのです。

現場、現場というと講師だけの経験を語るように思われてしまうかもしれませんが、

受講生の皆様のご職業での経験談というものも適宜伺って講座に取り入れていますので、

ご一緒に学ばれる際には、ご遠慮なく「うちの業界では、~」といったようなエピソードをご紹介いただければと思います。

 

Q.最後にこれから日本語教育を学んでいる方々、学ぼうとしている方々にメッセージをお願いします!

日本語教育と一口に言いましても、それを支える分野は非常に多岐にわたっています。

まず全体を広く学ばれて、その中でご自身の強みが発揮できる分野を探していただければと思います。

もちろん得手不得手がありますから、全ての分野に通じているということは理想に過ぎないかもしれません。

そういう中でも、1つ得意分野があればそれが自信につながり他の苦手分野を補ってくれると思います。

始めてみなければ、分からないことだらけです。

私が20年前に異国で初めてエスカルゴを口にしてみたときのような感覚で、

日本語教育に思いきって飛び込んみてはいかがでしょうか。

 

お話、ありがとうございました!

カテゴリー: | 2020.03.20

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