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日本語教師の資格制度創設 これから日本語教師を目指す人はどうなる?

*執筆内容は2020年2月末時点のものです

 

こんにちは教務の中村です。

 

いわゆる日本語教育推進法*1が令和元年6月に施行され、

以来、新資格「公認日本語教師(仮)」創設への動きも活発になってきました。

関連記事を新聞等の報道で目にした方も多いのではないでしょうか。

 

そのような情勢の中、現在日本語教師を目指しているみなさんにとっては

「わたしは日本語教師として働ける? 420時間の講座修了、検定合格は無駄にならない?」

という心配もあるかと思います。

そこで本記事はこの「心配事」に対し、現時点でわかる範囲でお答えいたしたいと思います。

 

 

現在議論は進行中

2020年2月末現在、資格に関わる要件については議論の真っただ中であり、

各メディアの報道はあくまでその経過を伝えるものです。

残念ながら「心配事」に対する100%の回答は制度の確立まで待つしかありません。

 

 

最近の議論の動向は?

とはいうものの現在、どのような方向で議論が進んでいるのかは気になるところ。

新聞等の記事でざっくり動向を追うのもいいですが、詳細は一次資料にあたりましょう。

2020年2月末時点において、本件所管である文化庁のウェブサイト内の最新の報告は以下のものです。

 

日本語教育小委員会(第99回) 「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_99/pdf/92046501_02.pdf 

 

36ページにわたる本報告案の中から「【8】経過措置」(17~18p)の一文を抜粋すると…

(「経過措置」とは新体制に移行する際、その過程や結果によって起こりうる不都合・不具合を軽減するための措置のことです)

 

〇17p  2行目~

「…教員要件を現に満たす者の取扱いについては,新たな資格となる公認日本語教師の要件を満たす者として,十分な移行期間を設け,公認日本語教師として登録を行えるようにすることが適当である。」

 

とあります。

「制度が変わったせいで、ある日突然日本語教師として働けなくなった」

という事態が起こらないよう配慮されるということですね。

 

そして「十分な移行期間」という文言から、現行の教員要件を満たす見込みであれば、

養成講座受講の途中等で切り捨てられるような事態は起こらない、と解釈できるのではないでしょうか。

 

 

結局どうすればいい?

以上から考えるに、日本語教師を目指す人にとって現状できる最善策は、

現状の議論で経過措置として挙げられている「現行の教員要件」を満たせるよう動くことかと思います。

 

この「現行の教員要件*2」として挙げられている主なものは以下のとおりですので

 

・いわゆる420時間の日本語教師養成講座修了+4大卒

・日本語教育能力検定試験合格

・大学、大学院において日本語教育に関わる課程を履修、卒業(修了)

 

4年制の大学を卒業している方は養成講座修了を目指す

そうでない方は日本語教育能力検定試験合格を目指す

ことが資格取得のための当面の目標となるでしょうか。

当然大学等で日本語教育(副・主)を専攻していれば、その時点で「現行の要件」を満たすことになります。

 

お急ぎでない方であれば、新しい教員要件*3になるのを待ってから資格を取得するというのも一つの選択肢です。

新制度の施行時期に見通しが立っておらず、求められる要件も厳しくはなりますが

その分、質も担保され、自信をもって教壇に立てるという利点もあります。

 

今後の議論の行方は?

ここまで現時点での最新の報告を読み解いてきましたが、

議論の方向性によっては状況が変わる場合もあります。

全てが確定するのは関連法案の可決までということになり、

来年になるかもしれないし、もっと先になるかもしれません。

 

最新情報を追うには、文化庁のウェブサイトをまめにチェックしてみるとよいかと思います。

直近では2020年3月10日に文化審議会国語分科会にて報告取りまとめが実施されるようです。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_99/pdf/92046501_04.pdf

 

以上駆け足でしたが

「わたしは日本語教師として働けるの? 420時間の講座修了、検定合格は無駄にならない?」

という心配事について、現状の議論からお話させていただきました。

 

 

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*1参考「日本語教育の推進に関する法律について」(文化庁)

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/other/suishin_houritsu/index.html

 

*2一部の報道で短大卒+日本語教育歴2年以上の経験で経過措置の対象となる、という記述がありますが

報告案では告示基準公表日の平成28年7月22日時点で要件を満たす必要があると明記されています(あくまで現状の案においてですが)。

ご注意ください。

 

*3 現在の議論において新制度における「公認日本語教師」の取得要件は

1.判定試験の合格 2.教育実習の履修 3.学士以上の学位 の合わせ技となっています。

詳細は報告案10~16pをご覧ください。

カテゴリー: | 2020.02.29

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